金融関係の仕事をしているわたしですが、お客さんとお金の話しになった時、今一つ分からないというか、しっかりと言い切ってあげられない場面が何度かありました。
今回はじぶんの勉強もかねて「マンガでわかる日本経済入門」をまとめてみました。
デフレとは何か?
デフレとは、物価が下がり続けていく状態、「需要」よりも「供給」が多い状態。
モノが売れないから物価が下がる
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物価が下がるから賃金が下がる
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賃金が下がれば収入が減る
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収入が減れば人はモノを買わなくなり消費を控える。
そこで、デフレを脱却するには、消費と投資を増やすこと。
手っ取り早いのは、政府が政府支出を増やす積極財政策。
例えば、道路や橋を建設する公共投資、教育投資、研究開発投資など。
お金とは何か?
貨幣は、物々交換の不便を解消するために生まれたとされるのが「商品貨幣理論」
これに対して、貨幣とは「負債」の一種」とみなす「信用貨幣理論」
著者は信用貨幣理論を支持している。
お金には「現金通貨」と「預金通貨」がある。
私も含めて多くの人が、銀行は個人や企業から貨幣を「預金」として集めてきて、その貨幣を貸し出していると思っています。
貸し出しは、銀行預金を元にしているのではなく、貸し出しされると銀行預金が生まれるという仕組みです。
銀行の貸し出しの制約は、元手の貨幣の量ではなく借り手の返済能力による。
金融政策とは何か?
日銀が保有する「準備預金」と「現金通貨」の合計をマネタリーベースという。
これまでデフレを脱却するために、お金を増やす、銀行の貸し出しを増やす、通貨供給量を増やす政策をとってきた。
しかし、そもそも借り手の方に資金需要がない限り、銀行の資金需要は増えない。
そこで、民間に需要がなければ、政府が「財政支出」を増やすことで需要を増やしていくべき。
財政政策とは何か?
日本はいくら「国債」を発行しても「破綻」しない。
ならば、税金は必要でなく、無税でもいいのではなかという反論も出てくるが、著者は「税金とは、物価調整の手段」という考えを支持している。
2~4%の程よいインフレならいいのだが、それ以上インフレが起きた時に増税などによって物価を調整する。
ハイパーインフレの原因は、内戦や戦争によって生産能力が破壊された場合や社会的・政治的な大混乱が起きた場合などの特殊なケースに限る。
構造改革とは何か?
経済を成長させる「成長戦略」大きく2つ
「アメ型(賃金主導型)」:賃金の上昇を労働者に対するアメにして、経済全体を成長させようとする戦略。
「ムチ型(利潤主導型)」:賃金のカットをムチ、つまり脅かしにし、企業の利潤を増すことで、経済全体を成長させようとする成長戦略。
日本がいままで行ってきたのは、インフレを脱却するための「ムチ型」の成長戦略。
いま行わなくてはならないのは逆の「アメ型」の成長戦略にある。
主流派経済学者とは何か?
主流派経済学者とは、世界中の大学の経済学部で「経済学」として教えられている経済理論のこと。
主流派経済学者は、経済全体における市場の需要と供給が常に一致するという「一般均衡理論」を基礎にしている。
これは、「供給は、常に需要を生み出す」という「セーの法則」を前提としている。
ではなぜ、主流派経済学者はデフレになるような経済政策、成長政策を支持するのか。
いまのデフレの状態は、一部の投資家、富裕層、企業経営者にとっては貨幣価値が高まり、とても喜ばしいこと。
また、それらの人たちは政治家に対して強い影響力を持っている。
まとめ
今までは経済活動において自由化することが善で、保護することが悪だと何となく思っていました。
しかし、今回この本を読むことによって、約30年続いてきたデフレから脱却するためには公共投資という財政支出を行って、さまざまな需要を生み出すことが一番の近道だと感じました。
当然、国債をどんどん発行しても大丈夫なのか、円建てで、国内での保有だから問題ないとする考えは理屈としては分かりましたが、完全理解まではも少し勉強が必要。
また、知識として、お金と言ったら現金通貨だけをイメージしていたが、銀行が貸し出しをした時点でお金が生まれる、記帳しただけの預金通貨というものがあることが驚きでした。
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